コラムColumn

音に魅せられて ~ケーターハム・スーパーセブン・スーパープリント~

車には、様々な楽しみ方がある。
デザイン性、エンジンのかかりかた、乗り心地、あるいは歴史やブランド力。

私が重視しているのは、「音」だった。

1つ前のコラムで取り上げたロータス。当初は少なからずロータスのエンジン音に期待していた。しかし、ターボエンジンの特性上、排気ガスがタービンを回すことで、本来の音が掻き消されてしまう。求めていたあの「音」がなかった。これには正直、がっかりした。

そんなときにたどり着いたのが、ロータスの直系ともいえるケーターハムだった。ある日、ケーターハムの専門店を訪れたとき、店内に響いていた音に衝撃を受けた。

「これだ……!」

きっかけはほかの何でもなく、音からの出会いだった。

エンジンをかけた瞬間、ダイレクトに響く爆音と熱。まるでゴーカートのようなサウンドとレスポンスの良さ。運転すれば、足元が熱くなり、夏はとにかく灼熱で大変だ。それでも、その音が好きで、迷わず購入を決意した。

耳で楽しむのはこのケーターハム。
目で楽しむのはロータス。

ロータスはかの有名なジウジアーロの設計したクルマで、そのデザイン性が大好きだったのでこちらは鑑賞用としたのだった。

ただし問題がひとつ。これらのクルマを入れるための「場所」がなかった。

そこで、私は所沢にある家とは別に、一軒家を購入した。しかも、ただの家ではない。憧れのガレージハウスを実現させるため、庭と家を連結させて平屋を増築し、まるで土間のような空間を作った。その中にロータスとケーターハムの2台を収め、休日はただただ眺める。決して整然としたガレージではないが、それがまた味わい深く、満足だった。

ケーターハムを手に入れたことで、自然と似た価値観を持つ仲間と出会うようになった。月に一度、所有者同士が集まりツーリングをする。彼らは皆、どこかしら「変わり者」だ。でも、だからこそ楽しい。

夏のツーリングは早朝に出発し、10時頃には帰宅するのが定番だ。くねくねとした山道を駆け抜け、ゴーカートのような音とハンドリングを楽しみ、帰宅する頃にはすっかり疲れ切っている。でも、その疲労感すらも心地よい。まるでスポーツをした後のような充実感があるのだ。

 

―――そういった感覚を最近味わっていないなあ、と、過去を振り返ってみると哀愁深く感じることもある。

ケーターハム・スーパーセブン・スーパープリントは、単なる移動手段ではない。音を感じ、熱を体感し、走る楽しさを味わうための存在だ。このクルマを手に入れてから、私の生活は大きく変わった。

それは、クルマとともにある人生。
まぎれもなく、クルマとともに、この人生を歩んでいる。

これからも、魅力的に感じたクルマとの出会いを、大切に刻んでゆきたい。