コラムColumn

時を繋ぐ。

「時を繋ぐ」――

これは、私の好きな言葉です。時代を超えて、ヒトやモノを通して伝わるそれぞれの想いが物語として受け繋がれていくことにワクワクしませんか。昔話や言い伝えなど、時代と共に微妙に変化していくものもありますが、それでも人々の心が共鳴し合い、物語として受け繋がれていくこと自体に何か特別なものを感じます。世の中にはそんなものが溢れているのではないか、と常々思うのです。

 

私たちの心は、常に過去と未来、そして現在という三つの時間軸を持ち続けています。過去にあった出来事が現在をかたち作るひとつの要素でもあり、現在の経験や思考、価値観が未来をつくります。逆に、過去に思いをはせて振り返ることもあります。あんな楽しいことがあった。あんなつらい経験をしたな。といった過去の経験から未来に何かしらの影響を与えることもできます。あるいは、はるか昔のヒトがつくりあげたモノや伝統、文化などをいまでも受け継いでいたりすることもあるでしょう。

 

「時を繋ぐ」とは、過去・現在・未来の三つの時間軸を一つに繋げること、つまり、過去の人々の想いと現在そして未来の私たちの想いを一つに結びつけることなのです。

 

時代をまたいで、共に変化していくことやものは他にも沢山存在します。例えば、昔は一般的に楽しまれていなかったようなスポーツやゲームがいまでは流行し、新しい趣味や娯楽として親しまれていることもあります。とあるインフルエンサーやアーティストなどのひょんな発言から、私たちの心が揺さぶられるような真新しい言葉が流行ることもありますね。そんな変化が目まぐるしい世の中だとしても、時代を超えて人々が考えていることは意外と共通点があるかもしれません。それは、ほんのすこしの、小さな思い出などから形づくられているなんてこともあります。

 

小さな思い出たちは、色々なところ・色々な場面で産声をあげていきます。思い起こしてみると、印象的で心が動くような思い出は、人生の大半を過ごしている「家」の中で起こっていることがありませんか?

「家」は私たちの居場所であり、心の支えでもあります。そんな家では色々なことが起きます。長年住み続けていたり、当たり前と思い込んでいるとなかなか見つけづらいですが、じっくり思いをよせてみるとどうでしょう。毎日毎日、違った角度から新しい発見が生まれることもあります。

 

愛猫と日向ぼっこして居眠りしてしまった縁側。

ほっとひと息つける庭の木陰のベンチ。

鉛筆で身長を記録したキッチン横の柱。

家族みんなで集まってカルタを楽しんだ居間。

 

思い出のよこにはいつも、必ず印象的な空間が思い浮かびます。それが案外身近な場所だったり、普段はスルーしてしまうような場所だったりするのも、趣深いです。

ただ、家もカタチを持つモノであるため、もちろん時代の流れによって老朽化したり不備がでてきたりするものです。それでも思い出は宿っている。思い出を繋ぐ役割を果たしている。そんな欠かせない存在です。古くから受け継がれる物語や思い出などと同じように、ひとつのモノである貴重な家一棟一棟にも、新しい風を吹き込んだり、改めて暖かい命を芽吹かせたりすることもできるのです。それが、リノベーションの力です。

 

リノベーションは、新たな価値を生み出すことで時代を繋ぐ大きな力を持っています。昨今、リノベーションの需要が増加しているのは、過去から現在において愛着を注がれてきた建物や空間を活かし、新たな価値や使い方を見出すことで、時代と共に進化する社会の一部として再生することができるからです。

 

リノベーションは、建物や空間の改修や再生を指しますが、ただそれだけではありません。リノベーションは、過去のものを生かしながら、未来に向けたメッセージを伝えたり、ありきたりな日常のワンシーンに新しい風を吹き込むような役割を果たしてくれます。それはまさに、過去のものを尊重しながら新しいものを創造し、時代を繋ぐ力です。

そういった日常の切り取られたひとつひとつの情景が、まさに「時を繋ぐ」瞬間。

 

そんな時を繋ぐ空間、思い出として頭にぱっと思い浮かぶような居場所に、家族や友人が集い、心通わせ繋がっていく光景を想像しながら、家についてゆっくり考えてみるのはいかがでしょうか?

 

家は、私たちが豊かな暮らしを送る上で欠かせないものであり、家族や友人との時間を共有する場所でもあります。そして、私たちが楽しんだり、悲しんだり、怒ったり、感情を共有する場所でもあります。小さなことから大きなことまで、新しい学びを得られる場所でもあります。感情が動き、経験が積み重なり、成長を感じられる。家は、私たちの心の支えであり、時を繋ぐ大切な場所なのです。

 

そんな価値のあるものを最大限に活かし、そこで起きたひとつひとつの思い出をしっかり心にしまったうえで、新たな思いでをつくり上げていく。

 

そう考えてみると、本当にリノベーションには「時を繋ぐ」力がありそうですね。

 

さて、「時を繋ぐ」をコンセプトに設立した明友クラシックライン、通称『MCL』。

これも実は、既存の建物を最大限に活かして新しい風を吹き込ませて誕生した、リノベーション施設。時代を超えた画期的で斬新な建物を舞台に、新たな物語や人間関係が生まれるとおもうと、ワクワクしますね。

 

この存在が、これからのみなさんの価値観や趣味嗜好を時代を超えても共有できる空間になり、ひとつひとつのコト・モノに想いを込めて語らえるような場になったら嬉しいです。