コラムColumn
愛車と自分を見つめ直す旅
2024年の夏が本格的に始まったころ。軽井沢の澄んだ空気の中に出かける前に、久しぶりにフェラーリのエンジンをかけました。35年前のエンジンが唸りをあげ、その独特な振動が身体に伝わってくると、まるで昔に戻ったような感覚が蘇ってきました。フェラーリの滑らかな走行性と心地よいサウンドは、いつも通り心を躍らせました。
給油するためにガソリンスタンドに寄り給油口を開けるとすごい勢いでシューという圧縮空気が噴出してきました。この暑さで車の燃料タンクが異常に膨張し、ガソリンがうまく入らなくなっていたのです。
日ごろのメンテナンスの必要性を痛感しました。これまでもメンテナンスをするたびに、愛車に対する愛着が深まってきたことを思い出します。手をかけ、時間をかけることで車への思い入れが増し、自然と乗車機会が増えるきっかけとなりました。しかし、ふとガレージを見渡すと、愛着が持てずにただ所有しているだけの車もあり、それが逆に心の負担になっているようにも感じました。 ビンテージカー愛好家として、これでは本物の愛好家とは言えないのではないかと、自分自身を戒めました。大好きなビンテージカーをただ所有するだけではなく、その一台一台に対 して、愛情を持って手入れをし、いたわりの心を持つことが大切だと再認識した出来事でした。特に50年以上前の車となると、なおさら特別な注意が必要です。ゴムの部品は使わなければ劣化が進み、弾力を失ってしまいます。ワイヤーも錆びてしまい最悪の場合、走行中に切れてしまうことさえあるのです。 頻繁に乗ることでオイルが循環し車全体が健康を保つことができるのですが、日常的に乗ることが少ない自分はそれを完全に見落としていました。以前、1951年製の車に乗っていたとき、インターチェンジを降りた直後にガソリンが漏れ出すというトラブルがありました。エンジンを止めると圧力が戻りガソリンの漏れは止まりましたが、後でひとりの信頼し尊敬する友人に見てもらったところ、ガソリンタンクの付け根が緩んでいたのが原因だったことがわかりました。
彼は手を入れて締め直してくれましたが、ビンテージカーに精通している彼の言うところでは、それは「基本中の基本だ」とのことでした。 その友人は、世界各国のラリーによく出場しており、さらに自分の手で車のメンテナンスを行っているとのことなので、私よりも遥かに経験値と知識量があります。
実は私よりも20 歳も年上の友人なのですが、驚くほど若々しいのです。彼に若さの秘訣を尋ねたところ、血流が良くなる食べ物を摂取すること、湯船に浸かること、そして日々のマッサージを欠かさないことなど、工夫していることがたくさんあることがわかりました。車だけでなく自身のメンテナンスもしっかりされていることがわかり、その姿勢には大いに学ぶべきところがあるなと痛感しました。
その友人の健康管理の徹底ぶりに触発され、私自身も自分の健康管理について考えさせられました。今は週に一度パーソナルトレーニングを行い、スクワットや腹筋などのエクササイズを1時間かけて行っています。また、隔週でスポーツマッサージ、ヘッドマッサージを受け、これが非常に効果的です。以前も、頭のツボを押されたことで上がりづらかった右手が改善されたという経験もあります。
断食道場にも挑戦しました。食べ物の大切さを改めて感じ、少量でも感謝の気持ちを持って食べることができるようになったのです。 断食道場での経験は、自分の感性を鋭くし、食事に対する価値観を根本から変えました。以前は食べられなかったトマトが美味しく感じられるようになったり、断食を通じて内臓脂肪が減ったり、体型が変わったことでファッションにも新たな挑戦をしようという気持ちが湧いてきたり。断食道場で過ごした日々は、私にとって非常に貴重な体験でした。断食は1週間続き、その準備として3日前から徐々に食事量を減らし、断食開始3日間はお茶と梅酢水以外は摂取せずに過ごします。4日目より回復食が始まり、具なし味噌汁から段階を追って少しづつ固形物へと移行、6日目の夜にやっと身体にやさしい養生食となります。こうした回復食を通じて、徐々に普通の食事に戻していくプロセス が大切です。 断食が終わると、食事の量が少なくても満足感を得られるようになり、食べ物のありがたみを一層強く感じられるようになりました。さらに感性が鋭くなり、普段の生活でもそれが持続するのです。再度挑戦した際は、感性の鋭さは前回ほどではなかったものの、食べ 物の大切さをより深く理解することができました。干しブドウ一粒でも、その味わいや食感をじっくり感じることができ、少量でも満足感を得られるようになったのです。
このような経験は、人に話してもなかなか理解されないかもしれませんが、実際に断食をしてみないとわからない感覚だと思います。断食道場に行ったことで、自分の身体や心がどれだけ変わるかを実感し、これまでと違う世界が見えるようになりました。特に断食後はお腹がへこんで体型が変わり、洋服のサイズが小さくなったことで新しい服を試してみたいという気持ちが強くなりました。 今までおしゃれには無頓着でしたが、少しだけおしゃれを意識するようになりました。洗練された雰囲気を保ち、お客様が不安を感じたり、がっかりする事がないよう細部まで気を配っていきたいと思います。このように、断食を通じて得た新たな視点が仕事や人生のあらゆる面に繋がっていると感じます。
ビンテージカーのメンテナンスから始まった一連の経験が、自分自身の健康やライフスタイルに対する考え方に大きな影響を与えました。愛車を大切にすることで、自分自身を大切にすることに繋がり、その結果として、より良い人生を送るための意識が高まりました。これからも、自分の心や身体、仕事、そして愛車に対して丁寧に向き合っていきたいと強く思います。

