コラムColumn

ターコイズブルーに魅せられて ~2009トヨタセリカクーペ1600GT(1971年)~

最初は、特別に“好きな形”というわけではなかった。
それでも、ふとした瞬間に目にしたセリカの初期型、どこか懐かしいリアランプのフォルムが心に引っかかった。
再びあの姿を見かけたとき、理屈ではなく手が動いた。気づけば購入していた。

選んだのはハッチバックではないタイプ。
後ろのランプがのっぺりと横に伸び、どこか愛嬌のあるデザインだ。
「乗るための車」ではなく、「眺めるための車」になってしまった。

衝動買いだったこともあり、走らせることはほとんどなかった。
それでも、ガレージに佇む姿を見るだけで満たされる、そんな1年を過ごした。

エンジンの音は、やはりいい。
低く響くようなあの音は、走ってこそ本領を発揮する。
けれど、実際に走らせることは少なく、いつしかミニカーやプラモデルを愛でるように、その造形と存在感を楽しむようになった。

あの頃は「速い」と感じていた。
けれど今思えば、あれは錯覚だったのかもしれない。

音が速さを演出してくれていただけで、実際はただただ一生懸命に走っていただけなのだと思う。それでも、その“懸命さ”にこそ味がある。
時代を超えて、いまなお心をくすぐるのは、きっとそんな素朴な魅力だ。

ボディカラーはターコイズブルー。
セリカといえばこの色。そう思うほど、鮮やかで印象的な一台だった。
ずっと「ワンテール」に乗ってみたいと思っていた。
そしてそのとき、条件はすべてそろっていた。
色も、初期型も。
迷う理由などなかった。

結局、リフトバックのスタイルの方が自分には合っていると気づいたので、この車に再び乗ることはないだろう。
けれど、このセリカが教えてくれたものは大きい。
“形の好み”だけではない、“車との向き合い方”を改めて考えるきっかけになった。

走らせなくても、そこにあるだけで満足できる。
そんな存在に出会えたことが、何よりの喜びだったのかもしれない。