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クラシックカーの魅力

「100年の歳月を経てここに残っているこの家具は幸せな子たちです」

ふと思い出した、あるドラマで出てきた一場面です。とても心に残っています。いままで触れてきた作品のなかで特に印象的なものは、セリフまで覚えていたりするものです。

100年の歳月を経てここに残っている。

これは普通のことではありません。モノは持ち主が存在し、使ってくれる人が存在することによって命が芽生えます。そして、それが必要とされている限りはその役割を全うし、人々の役に立ったり私たちを魅了させたりするのです。

100年経っても残っている、ということは、その期間ずっとどこかで、何かしらの形で大切にされていたことを物語っています。たとえ放置されていた期間があったとしても、再び手に取って大事にしてくれている人がいるということです。

モノを大切にするということは、そのモノが私たちの「生活」や「思い出」に深く関連していることを意味します。例えば、大切な人からもらった贈り物や、特別な場所で買ったお土産などは、私たちの心に深く刻まれ愛着を持って手元に残ります。もしそのモノがなくなると、その思い出も失われてしまうようにも感じます。いつの間にか忘れていたような思い出も、関連づけられるモノを久しぶりに手に取ってみて見返してみるだけで、その思い出を再び呼び起こすことができるのです。モノを大切にすることは、そのモノに関連する思い出を大切にすることと同じ意味を持つのです。

「古いモノ」というと、少しほこりを被った印象を受けるかもしれません。ただ、古き良きものたちの良さ・魅力がいまでも賞賛され、「ビンテージ」「アンティーク」「クラシック」などの言葉とともに今では日常的に親しまれています。

古き良きものは、数十年、数百年も昔の職人の手によって手作業で作られたものが多く、現代では目にすることが少ないデザイン性や独自性を持っています。その時代や地域の特性を生かしながら職人がカタチづくることにより、歴史的価値の高いものとして様々な分野で熱狂的なファンやコレクターがいるものです。私もそのひとり。クラシックカーの大ファンです。

ここでは、私がいままで触れてきた「クラシックカー」に着目して、その魅力をご紹介させていただきます。

そもそもクラシックカーとは、過去に製造された自動車を指し、いまでは製造を中止しているもののため世に出回っていることは多くありません。クラシックカーと呼べるのは、製造時に近いコンディションを維持している車、もしくは修理・修復を通してその状態に戻されている車のことを指すため、いまでも愛着が持たれて受け継がれている車をクラシックカーと呼ぶのです。

 

時代を超えて愛されてきたクラシックカーには、愛される理由があります。デザイン性、エンジンの音、乗り心地の3つにわけて、私のクラシックカーに対する想いをお伝えします。

まずは、デザイン性。

クラシックカーは、製造された時代の文化や技術の進化、地域性、職人の腕前など様々なバックグラウンドが反映されており、美しい曲線や色合い、カタチで構成されています。現代ではあまり見られないような独自性と個性を持ち合わせています。そのデザインはひとつひとつ異なり、溜息をついてしまうほど見とれてしまうようなものも。ひとつひとつに歴史と物語が存在するので、新しいクラシックカーに出逢うたびに色々と想像を膨らませてしまいます。

 

そして、エンジンの音。

視覚だけでなく、聴覚も刺激してくれるクラシックカー。いまではエンジンの音を最小限に抑えようとする技術が発達し、エンジンの音に特段意識が向かない方が増えているのではないでしょうか。ただ、もともと音楽が好きな私は、クラシックカーのエンジン音に初めて出逢ったとき、大きな衝撃を受けたことを覚えています。クラシックカーのエンジン音は、現代の自動車にはない深みや力強さ、そして耳、頭、身体全体に残る響きを持っています。これも車によって異なるのが魅力的。ひとつとして同じ音を発する車はいないのです。私たち人間と一緒で、独自の「声」を持っているのです。

 

最後に、乗り心地。

クラシックカーは、製造年代や設計方法、コンディションなどによって乗り心地が異なるのも面白いところ。古い車だから乗り心地が悪そうと思う方も多いかと思いますが、サスペンションが柔らかくスムーズに乗ることができたり、座席にこだわっているものだとソファのような弾力性があったりと、各自動車によって乗り心地の違いを楽しむことができます。また、クラシックカーのほとんどはマニュアルトランスミッションであることが多いので、製造当時のことを想いおこし、車と対話をしながらドライブを楽しむことができます。

ざっと挙げてみるだけでも、クラシックカーの魅力がこんなにでてきました。

 

悲しいことに、人気がなかった車や需要がなくなってしまった車に関しては、現代に受け継がれることなくその命は途絶えてしまっています。過去に活躍した職人が手をかけて製造したような、今見れば大変価値のあるような車も、もう私たちが出逢うことはないのです。とても残念なことです。

 

逆に、愛着を持たれてきた車は私たちの手に渡ることができています。それをまた私たちが息を吹き込んで、愛着をもって、一緒に走れるようになれば、こんな幸せなことはありません。私たちは、そんな時代を超えて伝わってきているクラシックカーを通して、人々が交流できるような居場所を展開しています。

それがMCLです。

MCLでは、様々なバックグラウンドを持つクラシックカーを展示しています。

一見ただの車かもしれませんが、時代を超えてここまで来てくれている大切な車です。それぞれ、過去の色々なヒトの思い出が詰まった車です。

「モノを大切にする」ということは「思い出を大切にする」ということではないでしょうか?そんな、モノを通して思い出をつくっていく場所がMCLです。

これから、MCLでのいろいろな取り組みを通じて、みなさんにとっても思い出をひとつずつ創り上げていきます。