コラムColumn
あの頃の音との再会 ~2004トヨタセリカリフトバック1600GT1975~
学生時代、僕の相棒だったのがセリカリフトバック1600GT。あの独特のリヤデザイン、そして何よりも音が好きだった。ずっと忘れられなくて、社会人になって再び手に入れた。まるで昔の友人に再会するような、そんな気持ちだった。
このクルマ、アメ車のトランザムに似たフォルムで、70年代の国産車とは思えない存在感がある。そして、エンジンをかけた瞬間のあのソレックスの吸気音。DOHC(ダブル・オーバーヘッド・カムシャフト)エンジンにツインキャブの組み合わせという、車好きにはたまらない仕様だ。ただ速いだけではなく、気持ちよく回るエンジン。そしてその音。音を聞くだけでテンションが上がる、そんな人間だから、「音を聞きたいから買う」という選択は、ごく自然なことだった。
でも、現実はちょっと厳しかった。
見つけたセリカは、正直良い個体とは言えなかった。探すのが本当に難しいクルマだから、とりあえず見つかっただけでもラッキーだと思って購入したけれど、整備が行き届いていなかったのが致命的だった。動かしてみれば、すぐにあちこちトラブルが発生して…結局、直すには莫大なお金と時間がかかることが分かった。
「よし、直そう」と一度は決意したものの、モチベーションは次第に失速。今では手放してしまったが、思い出す度にやっぱり心が動く。あの頃の思い出がよみがえってくるクルマなのだ。
もちろん、「直してもう一度走らせよう」そう思い立った日々もあった。けれど、年月とともに僕の気持ちも少しずつ変わっていった。というのも、修繕費には膨大なお金を要することはわかっていたが、いくらかかるかは不明瞭な状態だった。ぶっちゃけた話をすると、当時はお金がなかったので、泣く泣く手放すことを決意した。
セリカリフトバックは、ただの旧車じゃない。青春の音と景色を乗せて走る、特別な一台。もう一度走らせる日が来るかどうかはわからないけれど、いつかその音を、もう一度だけ、ちゃんと聞けたら。
きっと、誰にでも「音を聞くだけで戻れる場所」「音が蘇らせてくれる大切な想い出」があると思う。僕にとってそれが、セリカのあのエンジン音だった。いつかまた、あの音と一緒に走れたら。それが今の、ささやかな夢だ。

